益田ミリさんの実父のことが書かれたエッセイ本(漫画もあり)です。
彼は、予想していたよりもクセの強い男だった・・・(笑)
益田ミリ【オトーさんという男】感想レビュー
(2009年5月25日 初版)
益田ミリさんのオトーさんって、結構クセのある、めんどくさいタイプの男だった・・・!(笑)
前作の【お母さんという女】がほっこり系だったし、益田ミリさんもしっとり系なので、自然とオトーさんもそういう癒やし系なのかと思いきや・・・オトーさんだけ、結構地を行く生き様の男だった・・・!
益田ミリさんも本の中で何度も言っているけれど、
「オトーさんって、なんかちょっとズレている」
良かれと思ってやっていることでも、まわりにとっては『良かれ』じゃない場合がほとんどで、でもそれに気付かずに、さらに溝を深める行動をあれこれしてしまうオトーさん。
聞かれてもいないうんちくをいきなり語りだしたり、
テレビに出ている人を「こいつスカン」と言って場を盛り下げたり、
娘へのおみやげに、ぬいぐるみではなく日本人形を選んでしまったり、
テレビで仕入れた家事の常識をドヤ顔でお母さんに語って「知ってる!」と怒られたり・・・。
(でも本人悪気なし)
益田ミリさんのオトーさんは、なかなか気の短い短気な男だったようで、ちょっとしたことでよくイライラしていては、母親や、娘であるミリさんに小さなころから気を遣わせていたみたい。
「オトーさんの機嫌がいきなり悪くなったらいやだから、外食はドキドキして嫌いだった」
のあたりとか、読んでいてちょっとびっくりしてしまいました。
わたしは家族での外食って、子どものころはずっと大好きだったので。
わたしが外食を楽しめていたのは、わたしのオトーさんがおだやかな男だったからなんだなぁ・・・と変なところで感謝。
人の人生って、こうして語られないかぎり、外からは分からないものですね。
それぞれの『オトーさん』を振り返るきっかけになる本
この本はあくまでも『益田ミリさんのオトーさん』のことが書かれた1冊なので、
「わかるわかる」
と同調できるところもあれば、
「へー、そんなふうだったんだ」
と客観的に思うところもあったのですが。
その中のひとつの章の、
『オトーさんのプレゼント』の章については、ちょっとわたしにも語らせてほしい。
ここでは、オトーさんがミリさんに、ふと春物のニットを買ってきてくれたことについて書かれてあったのですが、
そのニットは、普段ミリさんが選ばないような鮮やかな色の服だったそう。
だけど、その服を着ると、よくみんなに似合うと言われた、と書いてあって。
ここだけは、
「わかる、わかる、わかる~!!」
となりました。わたしも。
わたしの『オトーさん』も、なぜかいきなり、娘に服をプレゼントしてくるような男なのです。
クリスマスや誕生日に、ふとイオンに出かけて行って、女性向けのお店で、娘(30代既婚)の服を選んで買ってくるのです。
(もちろん、わたしが自分ではあまり買わない系統の服たち)
(しかもニットとかコートとかの大物系)
ちょっと、そのハートの強さに、娘としては驚きです。
「もし気に入らなくて着なかったらどうするんだろう・・・」
とも思うのですが、父いわく、
「着るか着ないかはそっち(もらう側)の考えであって、俺はこれが似合うと思って買ってきて、プレゼントすることに満足しているからいい」
とのこと。
不覚にも、その生き様がカッコいい・・・と思ってしまう時点で、これは父の勝利だと陰ながら思っています。
そして、実際に、そのもらった洋服を着ると、わたしもミリさんと同じように、まわりからの評判が良かったりするからおもしろい。
実はわたしが自分で思うよりも、オトーさんは娘の良さをきちんとわかっていて、忖度なしで娘に似合う服を見つけることができるのかも・・・。
自分で服を選ぶときって、つい細くみえるようなラインとか、流行りの色味とか、有名なブランドとかを選んでしまいがちだけど、オトーさんは本能と直感のみで買ってくるので、結果的にものごとの本質を見抜いているということなのか。
ともあれ、【オトーさんという男】が1冊の本となって出版された以上は、それを読んだオトーさんの反応も、こっそりと気になったりもするわたしでした。
ミリさんもそのうちどこかのエッセイで、オトーさんの反応についても触れてくれるといいな。
「俺ってそんなに短気か?」
とか文句を言いつつも、娘の愛を感じてほっこりしていると思うのです。
↓その後、永遠のおでかけへと…
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