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【10】扁平母斑の治療をやめました【入院2日目・朝のトラブル】
一連の出来事を夫に連絡・相談してみたら…
看護師さんになぐさめられたあと、再び落ち着きを取り戻した私は考えました。
「絶対に、あのお医者さんが一泊二日って言ったのに…」←まだ言ってる…
そして、思い出しました。
そうだ…こういう時のために、一番最初の相談の時に、夫にも同席してもらったんじゃん…!
一番最初の相談の時、お医者さんが
「一泊二日で出来ますよ」
って言ったのは、はっきりと夫も聞いてる!
ただ、この日(手術日)は月曜日だったから、今、夫に連絡しても、夫はお仕事中…。
月曜日の朝なんて忙しい時間帯に連絡するのは、少し気が引ける…。
でも、今回のこの事態は、私一人で戦うにはいよいよ荷が重いから、味方が欲しい…!
電話は控えたものの、LINEで連絡することにしました。
その時のLINE↓
↑興奮のあまり私「皮膚科」って言ってますけど「形成外科」です。
ほら!ね!
やっぱり夫もしっかりと聞いてる!!
この場にはいないけれど、はっきりとした証人が確保できたことで一気に安心する私。
そして、この一連の出来事に関して、私の予想以上に夫が憤慨してくれまして…
「そもそも俺は事前検査の採血の時の麻酔のミスの話を聞いた時点で、はっきりと医療ミスだと思ってる。それに加えて今回の二泊三日に変更してくれとか、まったく理解できない。こっちに非は一切ないから病院に抗議する」
どうやら今までは、私が極力波風立てずにやりすごそうとしてたから、私の気持ちを尊重してくれていただけで、夫としては納得のいかないことだらけだったようで…
私がGoサインを出したことで、そのタガが外れたようで、ド正論で病院側に猛抗議をしたみたい…。
その結果、時間はかかったものの、最終的には病院側が一連の不手際を全面的に認めて謝罪してくれて、(何せ、本当にド正論だったもので…)
そのタイミングで、朝イチからバタバタしていたコロナの検査や消毒も終わったようで、
看護師さん「大変お待たせしました!お昼の12時すぎくらいには手術室に入れると思います!」
良かった…
まだまだ夕方くらいまでかかると思ってたから…
あと少しでやっと治療開始だ…
先が見えずに停滞していた時間が、少しずつ動き出しました。
いざ手術室へ!全身麻酔とレーザー治療
12時すぎになると、予告通り、看護師さんが病室まで迎えにきてくれて、私と4歳息子は仲良く手を繋いで、手術室がある階へとエレベーターで向かいました。
このあたりから、一気に緊張してきます。
手術室の、重々しい雰囲気に、厳重な扉に、大勢の医療スタッフさんたちに、ドラマでみるような全身水色の服を着込んだ人々を前に、めちゃくちゃドキドキしました。
私「なんだかドキドキするね…」
息子「おれ、へいき」
たくましい〜
( ;∀;)
手術室は、内側から鍵がかかった厳重なドアを何個か通り抜けた先にありました。
全身麻酔をするにあたって、待ち構えていたのは、想像以上の人数の医療スタッフさんたち!
手術室の中に、10人以上はいたと思います。
全身麻酔って、こんなにもたくさんの人たちが協力してやってくれるんだ…
わたしも少し前に、局所麻酔をともなう、ちょっとした日帰り手術をしたことがあったんだけれど、その時はお医者さん一人、看護師さん一人、とか、すごい少人数だったから、全身麻酔というものがこんなにも大がかりなものだったなんて!、と本当にびっくりしました。
その時、ちらりと横を見たら、例の形成外科の男の先生が、めちゃくちゃ肩身の狭そうな感じで、手術室の、これまためちゃくちゃ端っこに立ってたので、なんじゃそら!とも思いました。
病室で私と向かい合った時には、あんなにも横柄に、威圧的で、堂々としていたのに!
夫からの猛抗議で(電話で、ですけど)、おそらく、あの後、上司から相当怒られたのではないかと…
私としては、どんなに腹が立っていようと、今から息子のレーザー治療をしてもらうわけだから、一言「よろしくお願いします」と伝えたいものの、本当に部屋のすみっこにいて、しょんぼりと視線も落としていて、私と目も合わさない…!
逆に、これ、今から息子を託して大丈夫?
と思ってしまうほどで…。
そんなふうにしていたら、元気な感じの女医さんが声をかけてくれて、
「こんにちは。麻酔科の◯◯です。それではお母さん、今からお子さんをお預かりしますね。ここにいるスタッフ全員で安全に進めていきますので、お任せください」
と、笑顔で接してくれました。
手術開始直後、注射をして全身麻酔の点滴に入ると、こどもはすぐに目を閉じて眠りに入るらしく、
「お子さんが安心できるように、目を閉じるまでは手術室にいてくださって大丈夫です。眠りに入ったら退室をお願いします」
と説明してもらっていましたが、実際、本当にその通りで、麻酔の点滴が始まると30秒から1分くらいであっという間にすーっと眠っていって、
「はい、大丈夫です。じゃあお母さんは病室でお待ちくださいね。あとはお任せください」
す、すごい頼りになる…!
すごい安心感…!
しかも、なんか、注射も早かった…!
(採血みたいに血管を探さなくていいから早かったのかしら?)
ここまできたら、形成外科の先生も元気を出して、レーザー治療はしっかりとお願いしますよ…!
とは思いつつも、結局落ち込んでいる先生を相手に会話もできず(目も合わず)私は手術室をあとにしました。
私の退室後は、麻酔が効いてるかを確認したあとにすぐレーザー治療になるみたいで、レーザー治療の時間自体は、5分から10分程度。
こどもは眠ってるから暴れることもなくスムーズにできて、治療自体はすぐに終わるみたい。
でも、その後、全身麻酔がとれるのに時間がかかるみたいで、その時間が大体1時間半くらい。完全に意識が戻るまでは手術室を出ることができないらしいので、その時間はひたすら病室でお待ちください、とのこと。
まだ治療中とはいえ、やっと病室で、ほっと一息つける私。
とりあえず何か食べて元気を出さないと…!と思って、何かを食べたような…気がします。
(いろいろありすぎて記憶が行方不明…)
術後の発熱と吐き気
そこからひたすら待つこと1時間半…
13時半くらいに、看護師さんが個室に来てくれました。
「手術室から連絡が入りまして、意識が戻ったのであと少しでこちらに戻れるそうです。あと少しだけお待ちくださいね」
長かったような、あっという間だったような待ち時間…
それでも、ベッドに寝たままの息子がお部屋に戻ってきた時には、ほっと、肩の力が抜けました。
酸素マスクをつけた状態でも、カラフルなコードが身体にたくさんくっついた状態でも、無事に手術が終わってよかった…。
ドラマとかで、全身麻酔の手術をしたあとの人が、ずっと目をあけないまま病室で寝ていて、
「あっ、お母さん、お父さんの目が開いたよ!良かった…!お医者さんすぐ呼ぼうね!」
とか言ってるのをみるけど、あれってウソの演出らしいです。
実際には、全身麻酔は、患者の意識が戻るのをしっかりと確認した後でないと、手術室から出してあげられないみたいなので、病室で初めて目が覚める、とかはないんだって。
なるほどね~
病室に戻ってきたものの、息子の表情はまだぼーっとした感じで、
私「目が覚めた?まだ眠たい?」
息子「…んー、のどかわいた…お茶のみたい」
看護師さん「ごめんなさいね、全身麻酔の後は少しの間、食べたり飲んだりができなくて…
1時間くらいしたら、許可が出せると思うんですけど…」
私「そうなんだって。1時間、待ってくれる?」
息子「…げー、しそう…」
看護師さん「あら、まだクラクラしてるのかもね。吐き気があったら吐いちゃっていいからね。容器置いとくね」
なんだかバタバタ。
かと思えば、息子はやっぱりまだ身体が気だるいのか、また目を閉じて、すやすやと眠りに入る様子。
看護師さん「眠たそうなら寝かせておいてあげてくださいね。お熱だけ測っておきますね…
…あら、熱もちょっと出てますね。ちょっとだけ、だるいかな〜
じゃあ、しばらくは休ませてあげて、目が覚めたり、何かありましたらすぐに呼んでください」
38度の発熱に、ぐったりとする息子をみて、今更ながら、
全身麻酔って、小さなこどものからだに、こんなにも負担がかかるものなんだ…
と、実感…。
レーザー治療をする時の痛みをなくしてあげたくて、私たちは全身麻酔を選んだんだけれど、全身麻酔には全身麻酔なりの負担がやっぱりあって、結果的に、どっちがよかったんだろうなぁ…と、少し、考えもしました。
「負担がない治療」なんて、ないのかもしれないね…。
そして、肝心の、レーザー照射をしたほっぺの部分はといえば…
ガーゼとテープで厳重に覆われていて、勝手に剥がすわけにもいかず、よくわからないまま…。
でも、ガーゼのはしっこからちらりと見える部分は、かなり濃い茶色になっていたので、レーザーの、いわば「焦がす」「火傷させる」威力は、相当なものなんだろうなぁとは思いました。
皮膚の奥の、過剰なメラニン色素を壊す、っていうことだもんね。
このまましっかりと破壊されて、きれいな皮膚が作られてくるといいけれど…。
眠り続ける息子の横でそんなことを考えつつ、時間は過ぎてゆき…
次に息子の目が覚めたのは、16時くらいだったかな。
看護師さんに確認をとり、水分をとってもいいとやっと許可がおりたので、この日、初めての水分補給。
息子は朝から絶食、絶飲状態だったから、ごっくんごっくんおいしそうに飲んでいました。
ぐっすり眠ったおかげか、水分補給のおかげか、術後すぐのぐったり状態よりは、いくらか元気になってきたものの、それでも、まだ熱はある状態で…
その様子を見に来た形成外科の先生が(やっとここで再登場です。私たち以外にも患者さんはいるだろうし、忙しかったのかもですが、なんとなく避けられてると思ってた…)、
「レーザー治療はすべて完了しています。今は照射直後なので濃い茶色ですが、この部分がかさぶたみたいにゆっくりと剥がれてくるので、その下からきれいな白い皮膚が出てきたら終了です。」
「レーザーに関しては以上ですが…麻酔の後から発熱と吐き気がある状態と看護師から伺っています。この状態では、やはり病院側としては退院の許可は出せません…。
申し訳ないのですが…
お仕事の都合などもあるかと思いますが…
あと一日、お泊まりいただくことはお願いできませんか…?」
は、
は、
はじめて…
先生の口から
謝罪らしき言葉が…!!!!
いや、正確に言うと、これでも、はっきりとした「謝罪」ではなかったんですけど、ここにきてやっと、言葉や態度の中に、初めて「申し訳なさ」が入ってきてる!!!
夫よ…ありがとう…
私一人だったら、絶対にここまで立場は逆転してなかったと思う…。
先生にそこまで言われて、正直、私も、術後の息子の体調不良は目に見えて感じていたし、いざとなったら私のプライドよりもこどもの命を守るために先生の指示に従うしかないとは思っていたけれど、言い方ひとつでこんなにも穏やかに話がまとまるんだから、
もう!!!
最初からそうしてよ!!!!!
と、
めちゃくちゃ思いました。
その時点で、3日目の着替えも用意も何もないけれど、もう腹をくくって、泊まるしかないな、と思いつつ…
「主人と相談してみます…」
と告げ、夫に連絡。
夫「納得いかないことはまだ大幅にあるけど、息子のためにもう一泊するのは賛成。というか、してほしいけど、着替えとか用意も何もないんだよね?負担かけるから俺からも言いにくいけど、あと一泊できそう?」
私「やるしかないならやる…。」
夫「それならあと一泊お願いしたい。最終日の一泊分は病院側のミスっていうことで、個室代も食事代も病院側の負担で全部やってもらうように電話で交渉したから。他にもなにかあったらすぐ連絡して。俺が交渉するから」
お、
夫〜〜!!
( ;∀;)
あとから聞いた話では、この時、コロナ真っ最中ということで、入院患者への訪問が一切できない状態で、着替えを届けることも、先生に直接問いただす事も何も出来ずに、夫としてもただ電話でなんとかするしかなくて、めちゃくちゃもどかしかった!って言ってました。
いいのよ、いいの。
電話だけでも味方になってくれれば…!
足りない下着は手洗いしてドライヤーで乾かしたよ。
( ;∀;)<ワタシ、お母さんだもの!
そんな電話の後、再び訪問してくれた先生に、
「あと一泊だけします」
と告げると、
「助かります、ありがとうございます…!」
と謙虚に返ってきて、
もはや、知らない先生みたい。
誰やおまえ…。
「きょうもおとまり?あした帰るの?」
と聞いてくる息子に、
「お熱があるからね。もう1日お泊まりしようね」
と話して、一泊二日の入院が、ついに二泊三日へと、変更になったのでした。
続く…
【12】【退院とレーザー治療の後のケア】はこちらから↓↓