前回の話【6】はこちらから↓
総合病院の形成外科の初受診
総合病院では、「形成外科」の予約を取りました。
息子が4歳の夏ごろだったと思います。
顔のあざの治療って言うと、「皮膚科」だと最初は思っていたのですが、調べてみると「形成外科」が担当のようでして。
まず、電話で予約をして、土曜日に予約をいれました。
これは、夫にも同席してもらいたかったからです。
前回の皮膚科の件があるので(第4話参照)、私一人で診察に行くと、先生とのやり取りの中で、「言った」「言わない」問題がまたあったらと思うと…今度こそ我慢できない!と思ったのと、
きっちりと夫婦で診察に赴くことで、
「私たち、あざの治療を超!前向きに考えてますから!」
という意気込みを、先生にも伝えたかったのが大きな理由です。
私自身も実際に行った皮膚科で体験したし、
ネットであれこれ調べていたときにも感じた知識として、
『扁平母斑の治療に前向きではない先生は、結構多い』
というのが、まず、大前提にありました。
あざの治療を希望する親からしたら、
「なんでそんなに冷たいことを言うの?」
「もっと前向きに考えてほしい!」
と、感じると思うのですが。
(私は実際に感じました)
これって、落ち着いて、よくよく考えてみると、先生の言い分にも理解出来る部分は確かにありまして。
皮膚科や、形成外科の先生は、日常的に、あざのあるこどもの親から相談を受けていて、治療の経験も多くあって、その中で、何度治療をしても、何度も再発して、そのたびにがっかりする親を、もしかしたら、数多くみてきたんじゃないのかな…?と、思ったんですよね。
「がんばりましょう!」
「やってみましょう!」
と意気込んで、大泣きするこどもを押さえつけて、レーザーをして、それでもまた数か月後に再発して、またレーザーをして…
「この治療に、意味はあるのか…」
「ただただ、親子の(そして先生の)疲労が重なるだけじゃないのか…」
そんな日常に疲れて、治療をやめていく親子もいるのかもしれないし、または、
「全然良くならない!」
と不満をぶつけられることもあるのかもしれない…。
最初にきちんと、
「再発しやすいです」
と伝えてあったとしても、3回、4回と治療をして、何度も再発を繰り返したりしたら、そりゃ、親としても落胆の色を隠せないとも思う…。
そして、これって、やめどきも難しいとも思うんです。
何回も何回も、時間を使えば使っただけ、治療をやめることで、今までの努力はなんだったのかと、うまく消化できなくなるような気もします。
だから、そんなループを何回も不毛に繰り返すくらいなら、一番最初から、そのループにいれないように、先生が慎重になるのは、仕方がないことなのかもなぁ…と。
あるいみ、優しさなのかもなぁ、とも…。
いろいろと、思うわけです。
…と、話がそれましたが。
つまり、そんな大前提を持っていたからこそ、形成外科の診察を受けるにあたって、私はきちんと覚悟を決めていきました。
①リスクを全部理解した上で、親の気持ちとして、レーザー治療をさせたい!
②一度も挑戦しない方が後悔するから、挑戦してみてからその後を考えたい
総合病院なので、予約をしたところであまり意味はなく、ほどほど待たされたあとに、診察室に案内されました。
親子3人で先生と向かい合い、はっきりと、言いました。
「こどもの顔のあざの治療をしたいと考えています!」
さぁ、反対するならこい!
それでもやりたいって言うからな!
と、私としては、意気込んで行ったのですが。
30代くらいの細身の男の先生は、
「なるほど、わかりました。」
と、すんなりと受け入れてくれました。
ちょっと、拍子抜けなくらいに。
それから、
「ちょっと見せてくださいね」
と、息子のほっぺにある茶色い部分をじっくりと見て、
「確かに、扁平母斑だと思われます。」
「今後、自然に、濃くなるかもしれないし、薄くなるかもしれないし、そのままかもしれません。」
「成長とともに顔の面積も増えるので、それに比例して母斑が広がる可能性もあります。広がらない可能性もあります」
冷静に、診察をしてくれました。
そして、治療にあたっての、レーザー治療の方法、リスク、再発の話もしてくれて、適度にこちらの話にも耳を傾けてくれました。
あれー?
思ったよりも、反対、されないんですけど…?
と逆に戸惑ったくらいです。
でもこれ、あとから思ったことですが、治療をする先生としても、はっきりと、治療を希望する親には、もしかしたら、前向きに話を進めてくれるのかもしれないです。
リスクもあるし、再発もあるし、どうしよう…と迷っている親には、
「迷うくらいならやめたほうが…」とか、
「覚悟が決まってからまた来てね」っていう方針なのかも?
はっきりと、やりたい!とさえ伝えれば、先生からしても、止める権利はないわけだし、万が一、それでも止める先生がいたら、その先生はそういう考え方の先生なんだ、と割り切って、前向きに考えてくれる先生を探して、その病院で治療をすれば良いと思います。
前回の皮膚科では私もかなり疲弊したので、今回の先生は優しそうで、話を聞いてくれそうで良かった…と、一安心したものです。
形成外科の先生から説明されたこと
その形成外科の先生は、そのまま、治療に反対することもなく、話を進めてくれました。
まずは、レーザーをするにあたって、
先生「扁平母斑は、レーザーで薄くなる場合もありますが、その後、再発することが非常に多い母斑です」
私たち「理解しています」
「一度で完全に消えることも稀です。レーザーとの相性が良くて薄くなった場合でも、完治させるには何度か通うことになります」
「はい」
「再発の場合はどうしますか?」
「経過をみて考えます」
「これもまれにですが、レーザーをすることで母斑が濃くなることもあります。大丈夫ですか?」
「不安はありますが、それでも一度は挑戦してみたいです。親として、消せるのなら消してあげたいと思っているので。」
ここは、本当に、はっきりと伝えました。
再発したとしても、万が一、濃くなったとしても、『私がやってあげたいから、やる』
将来こどもに責められたら、ただ、謝る!
ここはきちんと覚悟していきました。
ただ、やると決めていったはいいものの、費用に関してはまだ、不安もあって…
西堀形成外科の先生の本で予習はしたものの…
本当に、治療費は、無料扱いなのだろうか…??
お金、ダイジ。
何回も通うことになるのなら、尚の事。
夫と一緒に、最初にしっかりと聞いておかなければ…!
私「あの、レーザーの治療って…おいくらくらい、かかるんでしょうか…?」
先生「レーザーも保険適用なので、こどもの医療費無料の対象ですよ」
よかった!
本の通りだった…!
いや、でも、いざとなれば、お金がかかったとしても、一度はレーザーをさせてあげたいと思っていたけれど…
それでも、無料は助かる…!!
本当にありがたいです!!!
お金の話が解決したので、引き続き治療の話に戻るのですが、
「顔のこの範囲だと、10分から15分、細かく、レーザーを当てることになると思います。4歳の子供には痛いです。あばれてしまう可能性もありますし、全身麻酔もできますが、どうしますか?」
これ、驚きの提案でした。
えっ、レーザーのために、全身麻酔をしてくれるの!?
全身麻酔にも、もちろんリスクはあることは知っています。
大人でもリスクはあるし、それが小さなこどもなら、なおさら。
でも、この提案は、私には嬉しかったです。
あざの治療を、痛いものとして、こどもの記憶に残したくなかったから。
あとは、ある意味、こどもの意思じゃなくて、私のエゴで、治療をさせるのだから、痛みが取り除けるのなら、取り除いてあげたかった…。
これも、全身麻酔のリスク説明を受けた後、先生に、お願いしますと伝えました。
ただ…
私たち「全身麻酔でも…1日で出来るんですか?」
先生「全身麻酔だと、前日に入院してもらって、次の日に治療になるので、一泊になりますね。付き添いは1人で…お母さんでいいですか?」
ですよね~
でも、まぁ、一泊なら…なんとかなるか。
とはいえ、4歳のこどもと病院に一泊なんて初めてなので、一応、大部屋ではなく、少しお高い個室の予約をして、少しでも親子ともに、ストレスなく過ごせるように…と考えました。
ちなみに、ここの総合病院の個室は1日1万円くらい、とのことでした。
(レーザーにお金がかからない分、個室代に予算が回せて本当に助かりました)
「全身麻酔がとれたら、そのまま帰れるんですか?」
「そうですね、午前中に治療をして、麻酔がとれるのに数時間かかるので、その後、診察をして、意識がはっきりとしてきて、医師のOKが出れば帰宅できます。」
夫婦で相談して、たとえ一泊必要でも、個室代がかかっても、こどもが痛くない方がいい!という結論になって、全身麻酔に決めました。
総合病院に相談に行ったのがたしか、夏ごろだったのですが、夏にレーザー治療をすると、その後、レーザーで治療したところを日焼けから守らないといけないらしく、小さなこども相手に日焼けの対策は結構大変だと聞いたので、選べるのなら冬のほうがいいという先生の言葉通り、年中さんの幼稚園の冬休み中に、一泊の予約を取りました。
- 12月27日(日)に入院
- 12月28日(月)にレーザー治療(全身麻酔)
レーザー治療のあとは、大きな火傷のあとみたいになるので、患部にガーゼを貼って守っておかないといけないので、幼稚園がある時だと目立つし、お友達に触られて剥がれても困るし、2週間ある冬休みの間にある程度治っていけばいいかな、と思っていたのもあります。
その日の診察は、最後にほっぺの部分の写真を数枚撮られて終了しました。
トータルで30分くらいだったと思います。
長いようで、短い診察時間。
その診察の中で、先生が言ってくれた言葉で、わたしがすごく安心&納得したものがあったので、せっかくなので、ここでご紹介しておこうかなと思うのですが…。
先生「扁平母斑は本当に再発率が高い母斑なので、何度も言いますが、再発の覚悟はしておいてくださいね。」
私「はい、その時はその時で、こちらも多少なりとも諦めもつくと思うので、そういう思いもあって、今回試してみたいと思っているので大丈夫です。ダメだった時はダメだった時として受け止めます。」
先生「なるほど、そういうお考えなら大丈夫そうですね。今回再発しても諦めずにまたもう一度レーザーをするという選択もありますし、または、数年、様子を見て、また気になったタイミングで挑戦するのもありだとも思います。
…あくまでも予測でしかありませんが、医療業界では、毎年、驚くくらいのペースで進歩が進んでいるので、こういった『母斑』『あざ』の治療も、いつか、簡単に治る日がくるかもしれません。
今では『再発しやすいレーザー』しかない状態ですが、この先、数年後には、レーザーも進化して、扁平母斑にも効果があるレーザーが開発されるかもしれません。
なので、『様子を見る』というのも、選択肢として決して間違ったものでもないんですよ。」
↑これを聞いた時、なるほど…!と思いました。
まだ未発達の分野でがむしゃらに頑張るよりも、ダメならダメで、一旦落ち着いて、数年待つという手もあるんだな、と。
確かに、昔には不治の病とされていた結核だって伝染病だって、今では簡単に予防&治療が出来るようになっている…。
扁平母斑が、1回のレーザーで、または何かしらのお薬で、簡単に消える日が、いつかくるのかもしれない。
そしてそれは、たったの数年後かもしれない。
なんというか、気丈に振る舞ってはいたものの、心の奥にわずかにあった不安のもやもやが、先生のこの言葉でほんの少し救われたような気持ちになったのです。
ありがとう、先生…。
ふーやれやれ、それじゃ、とりあえずは、これで話は終わった…のかな?
と、思いきや…
最後の最後に、実はまだ、することがありました…。
(ひえ~…)
私たちは全身麻酔を希望したので、その場合、入院の1か月前くらいに、各種の検査があったのです。
きちんと健康が確認できないと、そりゃ、全身麻酔なんて出来ないもんね…。
内診とか、レントゲンとか、血液検査とか、なんか、いろいろと、しなくてはいけなかったのですよ…。
なので、帰る前に、その検査の日の予約を入れて、そしてやっと、帰ることができたのでした。
その各種検査のお話もしたいけれど…
そろそろ長くなってきたので、そのお話はまた次回に…!
次回☆事前検査でハプニング!お楽しみに!
(またそこでもいろいろとあったのよ!)
【8】【全身麻酔のための事前検査】はこちらから↓↓