益田ミリさんの代表作『すーちゃん』シリーズの2作目は、
『結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日』
もう・・・タイトルからドキッとさせないで。
今回の内容は、「結婚しない」という世間的にマイノリティな選択肢と、真っ向から挑んでいるすーちゃん(とその仲間たち)のお話です。
中には深刻な展開もあるのだけれど・・・
そこを、益田ミリさんのほわっとしたイラストが中和してくれていて、今回も読みやすい1冊でした。
益田ミリ『すーちゃん』シリーズ一覧
1作目 すーちゃん(2006年)
2作目 結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日(2008年)
3作目 どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心(2010年)
4作目 すーちゃんの恋(2012年)
5作目 わたしを支えるもの すーちゃんの人生(2019年)
益田ミリ【結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日】あらすじ
1作目の『すーちゃん』は、すーちゃん(34歳)とまいちゃん(34歳)のお話でしたが、今回は、そこから1年後の、すーちゃん(35歳)とさわ子さん(39歳)のお話がメイン。
独身仲間だったまいちゃんがふとしたきっかけで結婚して、退職して、ほんの少しさみしく感じていたところに、新しく通い始めたヨガスタジオで昔の知り合いのさわ子さんとの出会いがあります。
さわ子さんはすーちゃんよりも年上の女性なので、再会直後は、
(さわ子さんはもう、結婚してるかもね・・・)
と思っていたすーちゃんでしたが、実はまだ独身のままだったさわ子さん。
今回の本では、そんなさわ子さんにもスポットライトがあたっています。
益田ミリ【結婚しなくていいですか。すーちゃんの明日】感想レビュー
すーちゃんシリーズの2作目も、ギュンギュンに矢が飛んできます。
「結婚しないの?」
「早く子供産んじゃいなよ」
「子供が産めるっていう診断書、もらってこられる?」
もう、もう・・・っ!
みんな好きなことばっかり言って!
とはいえ、35歳になったすーちゃんが考えてしまうのも、たしかに老後のこと。
独身仲間だったまいちゃんは結婚して、妊娠もして、前に進んでいってしまったような気がしていて・・・
すーちゃん自身の「今」だって、それなりに充実していて、気楽さもあるけれど、職場での責任感もある、意味のある日々のはずなのに・・・。
だから、特別大きな不満があるわけでもないのに・・・
不満はなくても、不安は出てくる・・・。
それは、35歳という年齢のせいなのかな。
女性で、35歳で、独身で、彼氏なし。
生きにくいよね、一般的な日本の社会で、このステータスは。
だけど、そんな、紆余曲折の、なんでもない1日1日を、のんびりと、丁寧に、たまにおっちょこちょいに、生き抜いて過ごしているすーちゃんが、やっぱりわたしは可愛いし、素敵な女性だと思うのです。
今回の2作目も、20代後半~30代くらいの独身女性に読んでほしい要素がてんもこり。
1冊読み終わったあとに、「さて、何も変わってはいないけれど、明日からもゆるく進んでいこう」という気持ちにさせてもらえます。
すーちゃんプロフィール
森本 好子(もりもと よしこ)
好子の「好き(すき)」の漢字から「すーちゃん」って呼ばれているみたい
35歳独身
趣味:料理
資格:調理師免許、そろばん4級
貯金:200万円
嫌いなことば:自分探し
仲良しの友達はいる、でも親友はいらない
日記:つづかない
前作の「すーちゃん」の時点ではわからなかった「すーちゃん」という呼び名の由来が、今作でほんのりと分かります。
森本好子っていう本名の公開は、この本が初じゃないかな?
読めば読むほどハマります・・・。